スマイルラボでは、Webメディア運用の一環として、利用者とともに記事のタイトルや見出しを考える作業を行っています。
これは単なる言葉選びではなく、「伝える力」「まとめる力」「視点を変える力」など、複数の能力が問われる創造的な仕事です。
第3回となる今回は、記事全体の印象を左右する「タイトル・見出しづくり」に焦点を当てて、実際にどんな活動をしているのか、どんな力が育まれるのかを、支援の背景も含めてご紹介します。
“タイトル”はWeb記事の顔
タイトルは、記事の「顔」と言っても過言ではありません。
読者が最初に目にする数十文字。その言葉がクリックされるか、読み飛ばされるかを決定づけます。
だからこそ、スマイルラボではタイトルや見出しづくりの作業を、単なる付け足しではなく「創造的な表現の機会」として捉えています。
記事の内容を理解し、それを読み手の視点で再構成する――そのプロセスは、就労支援の場においても貴重な訓練となります。
タイトル・見出しづくりの具体的なポイント
作業において意識しているのは、以下のような視点です:
- 読み手が「思わずクリックしたくなる」ような言葉
- 記事の内容を正確に反映しているか
- Web検索で見つけやすい表現(SEOの観点)
- 短く、視覚的にも読みやすい構成
特に難しいのは、「魅力的だけど、誤解を招かない」言葉選び。
刺激的な言葉で注目を集めたとしても、内容と乖離してしまえば読者の信頼を損ねてしまいます。
そのため、作業では支援員と一緒に「どの言葉がいちばん伝わるか?」「読み手に誤解されないか?」を丁寧に確認し合いながら進めています。
スマイルラボでの支援の工夫
このようなクリエイティブな作業には、抽象的な判断が求められる場面も多くあります。
そこでスマイルラボでは、利用者の習熟度に合わせて以下のような段階的支援を行っています。
- まずは元の記事タイトルを見て「修正・改良」する練習からスタート
- 「良いタイトル/伝わりづらいタイトル」の比較ワーク
- 話し言葉と書き言葉の違いを体験するセッション
- SNS上の閲覧数や反応をもとに、どんな言葉が選ばれているかを分析
特徴的なのは、「正解を求めない」という支援の姿勢です。
タイトルには正解があるわけではなく、記事の目的や読者のニーズによって複数の選択肢がある。
そのことを体感することで、「伝え方は一つじゃない」という柔軟な発想力も育っていきます。
この作業で育まれる力とは?
タイトルや見出しづくりは、見た目以上に多くの力を必要とします。
作業を通して次のような力が育まれていきます:
■ 要約力
長い文章から本質をつかみ、コンパクトな表現にまとめる力。
■ 伝達力
「読者に伝わるか?」という視点で構成を考え直す力。
■ 語彙力
一つの内容を複数の表現で言い換えるための言葉の引き出し。
■ 発想力
普通の言い方にとらわれず、興味を引く独自の視点を考える力。
さらに、実際に考えたタイトルが採用され、記事が公開されたときの達成感は、利用者の自己肯定感にもつながります。
失敗しても「まず出してみる」ことから
タイトルづくりには正解がないからこそ、「まず出してみる」「案を出すこと自体に価値がある」という文化が大切です。
スマイルラボでは、「おもしろいアイデアだね」「これはどんな人に届くかな?」といったポジティブな問いかけを通じて、利用者の発言を尊重する雰囲気づくりに力を入れています。
これは表現の訓練にとどまらず、「発言する勇気」や「協働する態度」を養うことにもつながっています。
まとめ:伝える力は、関わる力
見出しづくりは、単なるセンスや言葉遊びではありません。
「読み手の立場に立つ」「内容を客観的に見直す」「いくつかの可能性を考える」といった、非常に人間的な力を必要とする作業です。
スマイルラボでは、タイトルづけの練習を通して、利用者さんが「ことばを使って人と関わる力」を育んでいます。
あなたの感性も、誰かの心を動かす“見出し”に変わるかもしれません。
スマイルラボでは、そんな力が静かに芽吹く場面が、今日もいくつも生まれています。
📌次回予告(第4回)
「Web記事のカテゴリ分けとスケジュール管理」ってどんな仕事?
情報を整えて、流れをつくる。
メディア運用の“裏方力”に迫る特集を予定しています。
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